ウォーターシュートは急流すべりをはじめとしたウォーターライドの元祖といえる。まず、傾斜の上まで巻き上げられた大型ボートに乗り込む。ボートのロックが外され、傾斜を滑り落ちていく。そのまま、大きな池に着水するだけ、という極めてシンプルなアトラクション。着水した池にはレールがないので、船頭が一緒にボートに乗り込んで棒を使って操船する。着水時には、船頭がボートの先端に立って、衝撃を利用して大きくジャンプするという曲芸を見せて、楽しませていた。日本に初めて登場したのが、なんと明治36年!とんでもない歴史があるアトラクションだ。
八景島シーパラダイスに登場したのは、その歴史の中でも、後期となる1993年。八景島のオープン時に西武園ゆうえんちで1992年まで稼働していたものが移設されたようだ。日本で最後のウォーターシュートとなったが、2005年11月6日に惜しまれつつ営業終了。この頃に、ボートからジャンプする船頭の姿が多く報道されていたのが、印象に残っている。
その後、2010年7月17日に「スプラッシュート」としてリニューアルオープン。船頭が一緒に乗り込むのは変わりないが、ジャンプは行わず、代わりに池に設置された噴水が着水と同時に大きく上がるという演出が追加された。また、発車前に行うルーレットで、この噴水の強さが変化する。しかし、その「スプラッシュート」も2019年3月31日には営業を終了してしまった。
僕は2018年に1度だけ、これまたブルーフォールと同じく、滑り込みで乗ることができた。アトラクションの仕組みとしての面白さはあるけど、それも遊園地好きだから、楽しめるものであって、実際のスリルは時代遅れだと言われても言い返せないものだった。傾斜からスタートするので、あまりスピード感はなく、着水時の衝撃が激しいばかりで、全く濡れもしなかった。ルーレットで一番激しい噴水が当たったのだがが、その演出も、なんだか無理矢理な感じがして、どこか寂しげだった。1度の運転にかかる時間と労力も相当なもので、維持するのが大変なのは間違いない。
ウォーターシュートは実際に乗るよりも、見ている方が楽しいし、華やかなアトラクションだったといえる。時代とともに淘汰されてしまったのも、避けられなかったのだろう。ただ一度でいいから、生で船頭が飛ぶ姿を見てみたかった。だが、それはもう叶うことのない夢だろう。
B
大きな通りを横断するスプラッシュートのコース
スプラッシュートの入り口
ここから階段を上って乗り場へ向かう
左にある階段をひたすら上って乗り場へ
乗り場から下を見た様子
30度ほどの傾斜を滑り落ちていく
着水後は棒を使って船頭が操船する
降り場についた様子
空になったボートをまた傾斜の上に戻していく
恐ろしく手間がかかるアトラクションだ
巻き上げられているボートと船頭
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