長さ1000m/高さ43m/最高速度100km/h/最大傾斜121°
Gerstlauer Amusement Rides GmbH/Euro-Fighter 1000
2011年7月にオープンしたゲルシュトラウアー社製のユーロファイターと呼ばれるモデルのコースター。オープン当初、最大傾斜角(落下するときの角度)が121度で、ギネス世界記録に認定された。2019年10月にアメリカの「ニケロディオン・ユニバース」に設置された全く同じレイアウトの「TMNT Shellraiser」が121.5度で記録更新したが、今でも日本最大傾斜、世界でもトップレベルの傾斜を誇るコースターであることに変わりはない。
「高飛車」は「FUJIYAMA」「ド・ドドンパ」「ええじゃないか」と並び富士急ハイランドの4台コースターと称されている。その中での人気は最下位だろう。「好きなコースターランキング」等の企画があっても、大抵、上位には入らないし、待ち時間も1番少ないことが多い。だが、僕は「高飛車」が大好きだ。富士急の4大コースターは全てクオリティが高く、オリジナリティもある。どれが1番か決めるのが難しく、その時々によって、自分のランキングが変動してしまうが、その中で、4つ全てに乗った結果、「高飛車」が1番だったという日もある。それぐらい好きなのだ。これは少数派な意見だと思う。
ユーロファイターと呼ばれるモデルは、複雑な回転を含んだ大きなコースを小回りのきく小さな車両で駆け抜けるコースター。「高飛車」もコースの規模の大きさに対して、横4人乗りの短い車両が2両で8人乗りと小さな編成になっている。安全装置はシートベルトと肩ハーネス。肩ハーネスはかなり大きく、特に2列目だと、前の座席の背もたれが高いこともあって、少し窮屈な印象がする。横の座席との間隔も狭め。
乗り場は和風でカッコいい。ただ、次に乗り込む、最低限の人数しか案内しないので、ゆっくりと見ている時間はない。人数を伝えて、ロッカーに荷物を入れると、1列目と2列目に分けられて、すぐに乗車となる。富士急の他のコースターに比べると、次々に発車しているように見えるが、いかんせん8人乗りなので、回転率は悪く、待ち列の進みは遅い。
金色のロゴが目立つ駅舎
左に見えるレールは最後のブレーキ後
屋外の待ち列
ここまで並んでいるなら諦めた方が良い
建物内のスロープにも待ち列がある
乗り場の様子
ここの雰囲気は好きだ
「びっしゃ〜、びっしゃ〜、たかびっしゃ」の掛け声と共に、乗り場を出発すると、左に曲がりながら、暗闇の中に入っていく。真っ暗で何も見えない。そんな中、突然のドロップ。暗すぎて落ちるタイミングが全くわからない。体を構えることができないので、しっかりと浮く。わかっていても、毎回、ビックリするポイントだ。ドロップ後、すぐに右に旋回し、その流れでまさかのハートライン・ロール(径の小さなスクリューで、乗客の心臓を中心とするように横回転する)。暗闇の中で、ゆっくりと真っ逆さまになるのは不思議な感覚で、思わず笑ってしまう。その後、左に曲がると、まっすぐなトンネルの先に光が見えてくる。トンネルに入ると、また最初と同じような小さなドロップがある。ここでも特に2列目だと綺麗な浮きがある。ドロップでついた勢いのまま、リニアで急加速。時速100kmで屋外へと飛び出す。コースターの序盤としてはこれ以上考えられないぐらいテンポが良く、意外性のある展開だ。
急加速して、屋外に飛び出した直後に、巨大なコークスクリューがある。大きすぎてコークスクリューという感じが全くしないが、一応、形としてはコークスクリューで間違いない。続いて、バナナ・ロール。コブラロールの頭の部分を小さくしたようなエレメント。見た目は面白いが、実際に乗ってみると、インパクトは薄い。その後、再度コークスクリュー。先ほどとは逆向きで、大きさも半分ぐらい。コークスクリューらしいコークスクリューだ。前半戦の最後は、S字のキャメルバック。左に旋回しながら上り、最高部で方向転換して、右に旋回しながら下る。振動があり、左右に激しく振られてるので、肩ハーネスに頭をぶつける可能性があるので注意が必要だ。一方で、しっかりとした浮きもあるキャメルバックになっている。ここまで矢継ぎ早にエレメントが続くので、初めて乗った時はコースレイアウトがどうなっているのか、全くわからなかった。キャメルバックを下ると、最初の建物の2階部分に突っ込む形でブレーキ。建物の半屋外になった部分で右に折り返し、後半戦スタートとなる。
ドーム状のトンネル内で急加速する
1番高いエレメントが最初のコークスクリュー
デカすぎる!30m以上ありそう
見た目のインパクト大なバナナ・ロール
乗ると、「あれ、今のが?」という感じ
最初とは逆方向のコークスクリュー
大きさも半分ほどだが、それでも大きい
後半のダイブ・ループとインメルマンをくぐる形で
S字のキャメルバックがある
後半戦は90度、完全に垂直な巻き上げから始まる。高所恐怖症の僕にとっては1番の恐怖ポイントだ。ウルトラツイスターのように周囲を覆われてもおらず、高さもあるので、本当に恐ろしい。また、最高部の直前で巻き上げが少しゆっくりになるのも怖い。「コースターの中間に巻き上げがあることで、テンポが損なわれている」という人もいるが、どのように修行すれば、そんな境地に至れるのか。信じられない。高さ43mの最高部に来ると、富士山が綺麗に見える。しかし、それよりも、この先のレールが全く見えていないことの方が重要だろう。個人的には、更にそれよりも、タワーが細長く、最高部に来ると、周りに何も支えがないので、そのまま横にタワーごと倒れてしまわないか、心配になってたまらない。ブレーキがかけられ、じわじわと断崖絶壁に迫っていく。最大傾斜121度。ここまでのインパクトは絶大だが、実際にドロップが始まると、あまり怖くない。それも当然、ここまでに散々、逆さまにされているのだから。落ちるというより、回転の1種という感じがする。
垂直に巻き上げられる車両
こういうのが1番恐ろしい
絶対にありえないと、わかっているが
なんだか倒れそうな感じが毎回して怖い
世界最大傾斜を誇った121度の落下
感覚的には回転に近い
ドロップの後は、3つのエレメントが連続する。まずは、ダイブ・ループ(上から下への半ループ)。続いて、インサイド・トップハット。あまり大きくないので、僕はてっきりカットバックだと思っていたが、RCDBではこうなっている。折り返してきて、先ほどのダイブ・ループに重なるようにインメルマン(下から上への半ループ)という逆の動き。高さ43mからの落下の後、短いスパンでエレメントが連続するので、プラスGが強い。後半戦は少し物足りないぐらいで、インメルマンを抜けると、もう最後のブレーキとなる。この時、余力がかなり残っており、ハーネスに体を押し付けられるような急ブレーキをする。まだ十分走れそうなエネルギーが残っているので、もったいない感じもするが、左に曲がって駅舎内に入り、終了となる。
連続する3つのエレメント
ダイブ・ループとインメルマンが並んでいる
インサイド・トップハットというほど
大きくはない気がするが
レールが並んでいるカッコいい写真が撮れた
観覧車から撮った全体像
前半はテンポの良い展開が素晴らしく、後半は少し物足りない感じが確かにするので、竜頭蛇尾だと言われるのもわかるが、他のコースターにはない仕掛けが多くて、面白いコースターだ。トリッキーなコースターが好きなので、「高飛車」は僕のツボに上手くハマっている。
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