長さ2044.8m/高さ79m/最高速度130km/h/最大傾斜65°/トーゴ
1996年の開業当初、高さ、巻き上げ高さ、落差、最高速度で世界1位となり、ギネス世界記録にも登録された富士急ハイランドの代表格といえるコースター。今でもその人気は根強く、コースターファンの中でも国内ベストにあげる方が多いし、好きなコースターランキング等で1位を取ることも多い。
車両は2×2の4人乗りが7両編成。炎をイメージしたような形で、背もたれが和風なデザインになっているのも、カッコ良い。安全装置はシートベルトと腰のバーのみ。バーの形状が珍しい。T字でもU字でもなく、L字になっている。少し重く、足に引っかからない形になっているので、すぐにお腹にめり込むぐらい下がってくるのは辛いが、当時、高い背もたれと、肩ハーネスが主流だったことを考えると、かなり開放的な設計だ。
待ち列や乗り場がお世辞にも綺麗とは言えないのは残念なところ。また、乗り場の奥にロッカーがある為、乗り降りに時間がかかる。また、1回の走行時間も長いので、1編成のみで運転している場合、かなり回転率が悪く、待ち列が全く進まなくなるのも辛いところ。
大きな駅舎
乗り場が高い位置にある
乗り場の様子
ロッカーが奥にあり、乗り降りに時間がかかる
炎をイメージしたような車両がカッコいい
乗り場の奥が散らかっているのが見えてしまっている
金色の車両もカッコいい
安全バーの形が独特だ
駅舎を出ると、左に折り返し、長い巻き上げに入る。ナガシマの「スチールドラゴン2000」の方が高さはあるが、巻き上げのチェーンが2本に分かれている。単独の巻き上げとしては、こちらが日本一の長さ。途中、10mごとに今の高さが書かれた看板が設置されていて、緊張を煽る。また、背もたれがかなり低いので、巻き上げ中、常に腹筋に力を入れた状態で体を支えないといけないのも、ドキドキする。天気が良ければ、左斜め前の富士山が綺麗に見える。
高さ79mの頂上に達すると、そのままの高さで真っ直ぐ進み、少しだけ右に曲がって、ファーストドロップ。このファーストドロップがかなり良い。巻き上げて、すぐに落下ではなく、前述の通り、助走になる部分があるので、並みのファーストドロップとは迫力が違う。特に後方ではかなりの浮きが発生するので気持ち良い。残念ながら、最下部での振動は激しく、また安全バーがぐっと下がってきてしまうので、ここまでの浮きが楽しめるのは最初だけだ。
そのまま、真っ直ぐ長く上昇。この2つ目の山が高すぎて、冬場だと上りきれないんじゃないかと心配になるぐらいだ。かなりの高さをキープしながら、セカンドドロップに向けて、大きく左に旋回。ただの折り返しだが、優に60m以上はありそうだ。速度がいきなり落ちてしまうので、ウィキペディアに「FUJIYAMA」唯一の休憩スポットと書かれる等、マイナスポイントとして捉えられがちなパートだが、個人的にはかなり好きだ。富士山を含め、息をのむほど美しい周囲の景色を堪能できるし、高所恐怖症の人間にとって、この高さで水平に進むというのが、何よりもスリル。右側に座っていると、横に遠心力を感じるので、更に怖い。
セカンドドロップも助走がついて良いドロップだが、安全バーが下がってしまっているので、ファーストほどの浮きはない。そのまま真っ直ぐ続いて、大きなキャメルバック。ここも高さがあるので、浮きは気持ち程度だ。
高さ79mに達する巨大な巻き上げ
巻き上げの最頂部が少し真っ直ぐになっている
迫力のファーストドロップ
真っ直ぐ上昇して、高い位置での大きな旋回へ
高い位置での大きな旋回からのセカンドドロップ
天気が良ければ富士山が綺麗に見られる
セカンドの後は、大きなキャメルバック
続いて、巻き上げの下をくぐるように、右に大きくブーメランターン。見た目は美しいのに、実際に乗ってみると、かなり荒々しい動き。ガクンガクンと折れ曲がるような挙動で、体が痛い。そのまま、最下部までドロップすると、少し左に折れながら、上昇。速度が上がる中、カクンと曲がるので、この動きも激しく、また振動も強い。この上昇の最頂部はダブルアップになっている。いかにも浮きそうな形だが、高さがありすぎる。あまりにも速度が落ちてしまうので、全く浮かない。このように「FUJIYAMA」の中盤は個人的にはイマイチだと思っている。
ダブルアップの後は、右に旋回しながら、ドロップし、そのまま右に旋回しながら、再度上昇する、ブーメランターンの逆バージョンのような動き。最初の旋回の外側を大きく回っていくので、支柱がコースのすぐ右、体が当たってしまいそうな距離にある。ここも最下部でガクンとする挙動があり、振動も激しいが、迫力があって楽しい。その後、またドロップして、先ほどより小さなブーメランターンという前半と似たような動き。ターンの下りでは支柱の間をくぐっていくので、頭が当たりそうだ。1度目のブーメランターンよりはスピードもあり、楽しいが、荒々しい動きで痛いのは変わりない。
振動が激しく、かなり痛いブーメランターン
浮きそうで浮かないダブルアップ
逆向きのブーメランターンのような形
振動は強いがここは楽しい
さらにドロップして終盤に向けて速度を上げていく
2つ目のブーメランターン
こう見ると、かなりイビツな形
ここから怒涛の終盤戦。ブーメランターンを抜け、地面の高さまで落ちると、そのままの高さで右に急旋回。カント角が90度近く、ほぼ垂直にまで達して、体が真横になる。上半身に自由がきく車両で、地面や支柱が迫り、思わず仰け反ってしまう迫力だ。これだけで終わらず、そのまますぐにサーフィンコースと呼ばれる鬼のパートへ。ここからは、まさにメチャクチャ。こんな意味がわからないコースは、後にも先にも「FUJIYAMA」だけだろう。そして、このサーフィンコースが最後にして、一番の山だと言っても過言ではない。
サーフィンコースは簡単に言えば、6回連続のキャメルバックだ。しかし、そこに左右へのひねりが加わっている。まるでロデオに乗っているかのように、左右に振られながら、上下運動を繰り返す。コースの動きだけでも激しいが、そこにスムーズさの「ス」の字も感じないような振動と、どこかに体が飛ばされてしまいそうな無理のある挙動、安全バーが体に食い込むような浮きとが加わる。とにかく必死にしがみついて耐えることしかできない。あまりのメチャクチャさに、思わず笑いが止まらなくなってしまう。最後の山は下りがブレーキになっている。かなりの勢いを残したまま、飛び込むようにブレーキゾーンに入るので、激しい浮きが最後にある。勢いのある見事なエンディングだ。
終盤戦の最初は地面ギリギリの高さで進む
駐車場の周りを地面ギリギリで旋回する
体が真横を向く!
細かく左右上下に動くサーフィンコース
たくさんの支柱の下にある
サーフィンコースを撮るのは難しい
僕はとにかく「FUJIYAMA」に縁がなかった。富士急に行くたびに、雨や風で止まっていて、おそらく3回は乗車するチャンスを逃しただろうか。富士急に現存する中で、最も古いコースターだが、僕が乗車するのは最後になってしまった。あまりにも楽しみにしすぎていたせいで、初めて乗った時の感触はあまり良くなかった。振動が激しすぎるし、期待していたような気持ちの良い浮きがあるコースターではなかった。その後、2回目の乗車からはワイルドな乗り味だと理解したので、かなり楽しめるようになった。迫力のファーストドロップや富士山が美しい最初の旋回、支柱スレスレなパートの多さ、最後のとんでもないサーフィンコースと見所は多い。だが同時に、中盤の弱さや無理な挙動による痛さといったマイナスポイントが多くあるのも事実。大好きなコースターではあるが、正直なところ、今でも富士急の4大コースターの中では最下位だと思っている。
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おまけ:FUJIYAMAに乗るリサとガスパール
このデザインのお菓子が売られていたので、
思わず購入してしまった
※暗すぎる写真が多いので、再訪した時に撮り直します
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