ビックバーンコースター(那須ハイランドパーク)

長さ650m/高さ38.4m/最高速度88km/h/最大傾斜75°/明昌

 地元大阪からだと、どう考えても韓国や香港へ行くよりもハードルがはるかに高い那須ハイランドパーク。それでもどうしても行きたかったのは、このコースターがあるからだ。初めて、るるぶの遊園地版で見た時の衝撃たるや、それ以来、ビックバーンコースターは僕にとって憧れのコースターの1つだった。

 初めての那須ハイランドパークへの挑戦は2018年11月。3連休を取り、東京へ向かったが、大雨で断念。2回目の挑戦は2019年3月。高速バスの予約まで全て完了していたが、大阪から東京への高速バスが渋滞で遅れ、東京駅で那須ハイ行きに乗り継ぎできず、断念。そして、4月。雨も降らず、東京駅に前日入りして、朝7時に出発。女性2人組とカップルとぼっちヲタクの5人だけを乗せた高速バスに3時間30分揺られ、ようやく那須ハイランドパークへたどり着けた。3度目の正直とはこのことか。

 だが、到着してみると、恐ろしい案内が。「ビックバーンコースターは点検の為、運休です。動かせるかは、点検の状況によります」。これだけの労力をかけながら、運休予定。しかし、まだ6つもコースターはある、と自分を言い聞かせながら、パークをうろついていた。お客さんよりもスタッフの方が明らかに多い状態に、少し虚無を感じながら、しばらくしていると、突然、他の何者とも違う轟音が。12時を過ぎた頃、ビックバーンコースターが運転を開始。周囲に誰もいないパーク内で、思わず声を上げてしまった。ついに憧れのコースターに乗れるのだ。


THE明昌なシンプルな駅舎
ネットに覆われ過ぎているのが気になる
乗り場は何の装飾もない
2×2の6両編成だが、1つ1つが大きいので長い
ハーネスはかなりの重装備


 駅舎も車両も昔ながらの日本製コースターという感じで、特に凝った装飾はない。ハーネスは他のものより重装備で、明昌らしいの四角い形のハーネスに加えて、腰のバーもある。その上、座席が低く、足元も狭いので、動き出す前からかなり狭苦しい。乗っている感覚としてはルーピングスターシップやトップスピンのようで、ちょっとした拷問器具のようだ。

 コースレイアウトは非常にシンプルで、ファーストドロップからキャメルバック、その後、大きなループがあり、坂を登り、折り返して終了。全長も短いのだが、このコースターにはスペック以上の威力というか、異常性みたいなものがある。

かなり遅い巻き上げ

頂上で折り返して、ファーストドロップに突入する

どう見ても75度を超えているファーストドロップ


 巻き上げは異常に遅い。もちろん、この手の古いコースターは基本的に遅いのだが、わざとなんじゃないかと思うほどの遅さだ。なにせ乗車時間3分のうち、2分以上も巻き上げにかかっているのだ。正直、ハーネスの苦しさもあって少し辛かった。頂上に達すると、那須高原の広大な景色が広がっていて、開放感があった。だが、美しい景色を堪能する間も無く、コースターは折り返してファーストドロップへ向かっていく。この助走が効いている。伝説的ともいえるファーストドロップの公称は75度だが、どう見てもそれ以上あるように思える。今でこそサンダードルフィンや白鯨など、それぐらいのスペックを持つコースターもあるが、このドロップは一味違う。前者のように、爽快に浮く、風を感じるなどといった言葉とは正反対。ただ暴力的なまでに引き摺り下ろされるドロップだ。スペースショットの浮きではなく、ターボドロップの浮きと言えばわかりやすいか。車体に括り付けられて、下に叩きつけれられる。個人的な感覚としては八木山サイクロンのファーストドロップが一番近かった。あれを何倍も強烈にしたような、ヒップドロップ系コースターの最強形だ。

休む間も無く、大きなキャメルバック
そして、かなり大きく美しいループ
その中をスピンターンコースターのコースが通っている
急にやる気をなくしたかのように折り返すだけのパート
坂を下りながら、大量のタイヤブレーキで
少しずつ減速し、フィニッシュ


 強烈なファーストドロップの後は、大型のキャメルバック。線形は綺麗だが、残念ながら、高さがあり過ぎて、速度が落ちるので、全く浮かなかった。浮かないのだが、後半のドロップがこれまたヒップドロップ系。この手のキャメルバックはふわっとした自然な動きなことが多いので、意外と強烈な動きに、ビックリしてしまった。その次のループも見た目は美しいが、また強烈。ひたすらプラスGに耐える仕様になっている。

 ここまで来ると、もう終わったようなもの。ループの後、坂を登り、折り返すのだが、ここもまた高さがあり過ぎて、浮きもしなければ速度も落ち過ぎている。そのまま下りながら、今まで見た事がないような数のタイヤで減速。あまりにも多過ぎて笑えてしまう。まだまだ走れそうな高さなのに、ドンドンと減速してしまうのは尻すぼみだ。

 憧れのビックバーンコースターは傑作だったかと問われれば、それは違うと答えたい。ただ、とにかく変なコースターだった。正直、基本的には設計ミスなのだろうと思う。個人的にはプラスGが強く強烈なコースターはあまり好みではないのだが、ビックバーンコースターは狙ってできたものではないからこそ生まれた独特な味わい、その異常性が際立っていて、面白かった。


A−



絶叫番長

全国の遊園地やテーマパークを訪れ、ジェットコースターをはじめ、アトラクションのレビューをしています

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